パイオニア製DATデッキの修理依頼が続いています。今回は私が所有しているものと同じ機種のD-07です。
オーナー様は、この機種の最大の特徴であるハイサンプリングモード96KHzで録音したテープをお持ちで、どうしてもこのデッキが必要とのことです。
不具合の状況は、「テープ走行するが音が出ない」というものです。
トレイの蓋の閉まりが悪くなっています。フロントパネルと擦れているためですがプラスチックの変形によるものと思われます。ベルトスリップのため開くときも引っ掛かってしまいます。
テープローディング後にヘッドが回転しテープ走行もしますが音は出ません。
まずはスリップ気味のローディングベルトを交換します。
固定しているビス数本と数か所のコネクタを外すと簡単にメカを取り出すことができます。
メカの後部に取り付けられているRFユニットです。この100μFの基板実装型電解コンデンサー劣化が原因です。
新品に交換します。
これで音が出るようになりました。
再度メカを取り出して、動作不良予防措置を施します。
リール駆動ベルトも新品に交換します。
ロータリーエンコーダーの接点清掃、スライドSW用グリス塗布を行います。
ピンチローラーの表面がテカっています。
専用クリーナーで清掃します。テカリは消えました。
メカを本体に組み付けて、ヘッドからの信号をチェックします。OKです。
ヘッドホンVOLはガリが発生していましたので、接点復活剤で措置します。
ハイサンプリングモードなど各モードでの録音再生状態を確認し、
完成しました。ハイサンプリングモードに切り替えたときの「ヒューン」という音がたまらないですね。