今日はナカミチのLX-5の修理です。
数年前に使用したときは正常だったものが、久しぶりに使用してみると録音再生不可であったということです。
早速動作確認を行います。
再生ボタンを押すと、メカの動きは重いものの、テープ走行が始まり音が出ました。しかし、数秒後に音量低下・音の籠りが始まり、終いにはほとんど無音状態となりました。テープ走行が不安定になって、ヘッドとのタッチが悪くなっているようです。
右側リールの動きがギクシャクしています。これが原因でしょうか？また、メカの動作切替後は本来停止するはずのカムモーターが常に回転し異音を発しています。内部のベルトにスリップが起きています。
メカを取り出す準備を開始します。コネクタ類を切り離し、
フロントパネルを取り外し、
底板も取り外します。メカのカムモーターのアースが基板に接続されていますが、半田付けになっていますので、ここは一旦切断し、修理後に再接続します。
メカを取り出しました。
メカ背面です。このメカは３層構造になっています。
１層目のキャプスタンモーターブロック、その次にフライホイール（キャプスタン）の順に分解します。
続いて２層目のリールメカを分離します。
左右リールの間のアイドラーを分解します。
硬化が進行し、割れてしまいました。特注品の新品に交換します。
異音防止として、リールの回転部分をグリスアップします。
メカ内部にあるスイッチの接点を清掃します。
キャプスタンにもグリスアップし、
順番に組み立てていきます。
スリップしていたカムモーターのベルトを交換します。
続いて前面のメンテナンスを行います。
カセットホルダーを切り離します。
「PH AZIMATH」と刻印されています。後ほどこのツマミで再生ヘッドのアジマス調整を行います。
ヘッドブロックは両端の２か所で固定されていて簡単に脱着できます。
ヘッドの状態は良好です。
ピンチローラーアームの動きも滑らかで問題ありません。
リールの回転を検知するためのベルトです。新品交換します。
左右ピンチローラーを脱着して研磨清掃を行います。
カセットホルダーの開閉のショックを吸収するダンパーです。古いグリスをシリコングリスに置換します。
メカの整備が完了しました。
本体に組み込み、動作確認を行います。メカの動きは軽やかになりましたが、再生開始後の「音量低下・籠り」という症状は改善されていません。
バックテンションが弱いことが原因でしたので、左側リールのパッド交換・スプリング強化を行いました。
今度は大丈夫です。
テープ速度はOKです。
再生ヘッドのアジマス調整を行います。右肩上がり45度、直線の長さは高域の出力を表しています。
続いて録再バランスと録音ヘッドのアジマス調整です。左写真は入力、それを録音再生モニターしたものが右です。波形の違いはアジマスの狂いが原因です。
ヘッド左側のツマミを回して直線になるように調整します。
バイアスの効き具合（周波数特性）を点検します。縦の３本の直線は左から315Hz、1000Hz、10000Hzです。左写真は入力、それを録音再生したものが右写真です。ほぼフラットになっていますので、問題なしです。
最後にCDを録音し、聴感で録音状況を確認します。
完成しました。
