今日は久しぶりにDTC-2000ESの修理を行いました。2年ほど前に当店で整備を行ったデッキになりますが、「CAUTION」表示が出て動作しないとのことです。メカは整備済みで問題は起きないはずですが、他に何かトラブルが発生したのでしょうか。
機器が到着しましたので、早速動作確認を行いました。
ところが、普通に動作します。しかし、何度か操作をしていると、
テープはローディングしているようでしたが、「CAUTION]となり再生が開始しません。一旦電源をOFFにすると再度正常に動作しましたが、再び「CAUTION」となるなど不安定な状態です。
メカを取り出して動作状況を目視点検します。写真は正常に動作したときのものですが、「CAUTION」となるときは、ヘッドが回転しないことが分かりました。そうこうしているうちに、ヘッドはまったく回転しなくなりました。
そこで、試しに、私が所有しているDTC-2000ESにメカを接続しましたが、やはり「CAUTION」となります。ということは、メカ本体に故障が起きているということになります。
メカを裏返すと、モーター類をコントロールするMDボードが配置されています。ヘッドのモーターの故障ということは考えにくいので、ここに不具合が生じていると思われます。しかし、この基板はほとんどがチップ型パーツで構成されていますので、コンデンサー交換以外はほぼ手を入れることができません。「修理不可」にならないことを祈りながら作業を続けます。
基板を取り外し、ヘッドのモーター関連の電解コンデンサー3ケを交換します。右写真はコンデンサーを取り外したところです。左から22μF、47μF、2.2μFになります。取り外す前は液漏れは見られませんでしたが、右写真のように47μFにおいて液漏れによる端子の腐食が確認されました。以前整備を行った際に、液漏れしやすい2.2μFがすでに交換されていたことは確認していましたが、47μFに液漏れというのは初めての経験です。
しかし、心配なのは、コンデンサーそのものではなく、液漏れによる基板への影響です。この端子のすぐ横には基板の表と裏を接続するスルーホールがありますが、テスターで点検してみると、やはり腐食により導通がありません。この手の故障は、DTC-1500ESにはよく見られますが2000ESでは珍しいのではないでしょうか。
そこで、表面と裏面をバイパス線で接続することにしました。さあ、どうでしょうか?
復旧しました。この仕事をしていて一番うれしい瞬間です。
ひと安心したところで、今回の故障とは関係ありませんが、予防のため残りの電解コンデンサーも交換します。
ひととおり動作状況を点検し修理完了です。DTC-2000ESも発売開始からもうすぐ30年が経過しようとしておりますので、良好な動作を維持するためにはいろいろな箇所のメンテナンスが必要となっています。