以前から何回かお取引いただいているお客様から、A&DのGX-Z5000の修理依頼をいただきました。
不具合の状況ですが、片チャンネルの入力不良ということです。
早速機器を接続し動作確認を行いましたが、左右とも入力に問題はありません。入力端子の半田割れも起きていないようです。カバーを開けて、基板上のパーツに触れてみましたが、変化はありませんので接触不良は起きていません。強いて言えばRECVOLにガリが出ていますが、ツマミを何度か回すと解消されましたので、これが原因であればオーナー様は録音の際にすぐに気が付くはずです。
とりあえずオーナー様に不具合が再現しないことを連絡し、ご自宅の環境でのケーブルの接続不良など、思い当たることが無いか確認しましたが、「その可能性は無い。また、症状はチューナーに接続時に発生したが、その後アンプに接続しても同様だった」ということです。
結局、オーナー様の意向により数日間様子を見ることにしました。
4・5日経過しましたが、残念?ながら好調です。不具合が再現できない修理ほど厄介なものはありません。「さあ、どうしようか?」と考えていた時に、オーナー様はデッキをFM録音に活用しているということを思い出しました。ここから今回の不具合の原因が明らかとなりました。
今回、最初に機器を受け取ったときにRECVOLにガリが起きていましたが、
通常、RECVOLにガリが発生すると、録音時のレベル調整でツマミを回すと「バリバリ」と音がしたり、音量が不規則に変化しますので、すぐに使用者自らがVOLに不具合が起きていることに気が付きます。しかし、常にFM放送の録音に使用しているのであれば、RECVOLを触ることはありませんので、ガリが発生し入力不良となった場合に、ほかの箇所に故障が起きたと勘違いしてもおかしくありません。
早速オーナー様に、普段のRECVOL調整の有無について確認したところ、予想通り「FM録音で常に音量を一定にする必要であるため、RECVOLを調整することは無い」、さらには「もう一台別の機種で同様の不具合を抱えているデッキがあるが、RECVOLを回すと解消された」とのことでした。
意外な結末でした。遠回りしましたが、原因を特定することができてひと安心です。