今回はA&Dのフラッグシップモデル、GX-Z9100EV動作品の修理です。
「録音時にノイズが乗る」「RECVOLを回しきるとノイズが発生する」という不具合を抱えています。
電源をONにするとメカの「カタカタカタ・・・・」という音が10秒程度鳴りやみません。調整が必要です。
モニターを「SOURCE」の状態でツマミを回すと、最初と最後に「バリッ」と強烈な音が鳴り、Rchのメーターが振り切れます。
外部入力を接続しました。Rchのレベルが低い状態です。また、それほど大きくありませんが、「ブーン」という音が常時聞こえてきます。
RECVOLの故障でしょうか?前身のGX-93では珍しくないことですが、GX-Z機ではこれまでほとんど経験したことがありません。
カバーを開けて点検を行います。コントロール基板、仕切り板を取り外します。
RECVOLの端子にテスターを当てます。異常値が測定されましたので、やはり故障しています。
端子の半田部を見ると、他の箇所とは色が違って見えますが、一度交換されたのでしょうか?
メイン基板を取り外すのは大変です。リヤパネルを外して基板を後ろに5cmほどずらします。
RECVOLを取り出しました。下位機種とは異なり高級なタイプのものが採用されています。ところが、端子1か所が破損しています。やはり以前何かあったのでしょうか?
念のため再度測定します。内部で断線が起きているようです。
中古になりますが、同じタイプのスペア品と交換します。
余談になりますが、7100EVなど下位機種では、左写真のようなタイプが採用されていますが、右写真をご覧になるとわかるように、基板の取り付け位置が異なるため、ボルトオンでは流用できません(今回取り付けしたのは、オリジナルと同じタイプです)。
元通りに組み付けます。
完全に治りました。今回は、この修理に併せ、ピンチローラー交換と録再調整を行います。
メカを前方に数センチほど引き出し、カセットホルダーを切り離します。
SONYなどのデッキでは、ピンチローラー交換の際にはアームごと取り外さなければなりませんが、A&Dのデッキはピンチローラー単体で脱着が可能です。
同サイズの新品に交換します。
ミラーカセットをセットしてテープがテープガイドと干渉していないか点検します。
315Hzのテープを再生して速度の点検を行います。
再生ヘッドのアジマスを調整します。わずかに狂いが見られました。
バイアスキャリブレーション調整を行い、
入力と出力のレベル、録音ヘッドのアジマスを点検します。僅かにレベルに狂いが見られますので、
基板上のトリマで調整します。
CDを録音し再生モニターします。文句なしです。
電源投入時の「カタカタカタ・・・・」という誤作動は、メカの半固定抵抗を回して調整します。
完成しました。