５年ほど前に当店でGX-Z9100EVを修理された方からのご依頼です。そのとき修理した9100EVは快調に動作しているということですが、オークションで新たに購入された整備済み品の9100EVが不調なため、今回のご依頼に至りました。
一番の問題は、再生中にリールの回転が停止し巻きこみを起こすことということです。
カセットをセットし、クローズボタンを押すと、トレイが途中で引っ掛かり、指で押してやらないと完全に閉まりません。
早送りや巻き戻しの操作を受け付けないことがあります。
カバーを開けます。ケーブルがワイヤー入りのバンドで束ねられていますが、トラブルの原因となりますので、通常はこういった場所には使用はしません。
操作スイッチに接触不良が起きています。
スイッチ14ケすべて交換します。
今まで気が付きませんでしたが、スイッチは、２本足、４本足両方が取り付けられるようになっています。元々は９割がた２本足のものが取り付けられていましたが、今回は安定性の高い４本足のものを取り付けます。
交換し、正常に動作することを確認します。
メカを降ろして分解を進めます。
カセットホルダーも分解します。両サイドに装着されている樹脂製のスプリングにヘタリが見られます。
脱着して加熱整形します。
メカに固着はありませんが、古いグリスが固まりかけています。
分解し、古いグリスを除去し、新たにグリスを処置します。
硬化しているピンチローラーを交換します。
アイドラーゴムを交換します。
アイドラーゴムが接する箇所を脱脂します。
メカ背面を分解します。
ゴムカスの付着はありません。
カムモーターユニットのゴムベルトを交換します。
テープポジション検出スイッチの接点を磨きます。
新しいベルトを掛けて組み立てます。
メカを元に戻して動作確認を行います。
ミラーカセットを用いてテープパスを点検します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の点検を行います。
再生ヘッドのアジマス調整を行います。
録音ヘッドのアジマス調整を行います。
バイアスキャリブレーション後に録再バランス調整を行い、テープポジションの異なる複数のテープで録再状況を確認します。
完成しました。
