SONY製オートリバースカセットデッキ、TC-RX79の修理依頼をいただきました。
1年ほど前に動作品として購入されたという機器です。ご相談いただいたのは2点です。「速度が低下している」「操作キーが反応しないときがある」というものですが、後者は、リモコン操作で問題無く使用できるので、大きな問題ではないとのことです。
再生してみると、聴感ではっきるわかるほどの速度低下が見られました。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の点検を行うと、5%弱の狂いがあることがわかりました。
カバーを開けてキャプスタンモーター背面の調整孔にドライバを差し込み調整します。
これでひとまず正常な速度になりましたが、これほどの狂いが発生することは珍しいこと、また、使用されているモーターは、比較的トラブルが多い印象があることなど、このままでは不安が残ります。
もう一点の操作キーの問題ですが、STOPボタンを押すと巻き戻しになるという誤作動がたまに発生します。これは、スイッチの接触不良が原因ですが、症状が軽いことから、キーを強めに数回押すことにより症状は改善されます。
点検を進めます。ピンチローラーがかなり硬化しています。現状では走行に問題は発生していませんが、交換が望ましい状態です。
以上、オーナー様にお知らせし、今回は、キャプスタンモーターとピンチローラー(左右)の交換を行うこととなりました。
メカを降ろします。
ピンチローラーアームを取り外します。ヘッド周りにシリコングリスが多めに塗られていますが、以前修理された時のものと思われます。グリスは、薄く塗るのがセオリーですので、綿棒等でできる限り拭き取ります。
硬化したピンチローラーを交換します。
モータープレートを取り外します。
ベルトも最近交換されたものですが、一回り小さなものが使用されていてきつめでしたので、当店が以前特注したベルトと交換します。
モーターを取り外します。写真ではわかりにくいかもしれませんが、オイルが処置されていてベタベタしています。モーターの不具合を改善しようとした痕跡と思われます。
マブチ製のモーターと交換します。周辺にはオイルが付着していますのでアルコールで拭き取ってから組み付けます。
メカを本体に戻して動作確認を行います。
モーターが十分温まった状態で速度調整を行います。
再生レベル・バランスを調整します。
ヘッドアジマス(FWD)の調整を行います。
REVです。
録再バランス調整を行います。
録音状況なども確認し、修理完了です。