TASCAM製ダブルオートリバースデッキ、202mkⅢです。
3年ほど前から故障状態になったということです。
デッキAは反応なし、デッキBは反応はありますが、正常に作動しません。
カバーを開けます。
デッキAが無反応だったのは、カセットの検出スイッチの接触不良が原因でした。
接点復活剤を処置し動作するようになりましたが、リールが回転しないため、テープが引き出された状態になります。
デッキ1を取り出します。
リールベルトが無くなっています。
ヘッドのコネクタ、モータープレートを取り外します。
ベルトが切れています。
加水分解で溶け切れたベルトの大半は、フライホイールに付着していましたのでアルコールで除去清掃します。
新しいリールベルトを掛けます。
キャプスタンベルトも劣化が見られますので交換します。
オートリバース機は、二つのフライホイールが常に逆方向に回転するようにベルト掛けします。
ピンチローラーとヘッドをクリーニングします。
本体に組み込んで動作確認を行います。
デッキ2です。
こちらはマイク基板が取り付けられていますので、それを脱着しての作業となります。以下デッキ1と同様ですので記事は省略します。
本体に戻して動作確認を行います。しかし、ここで、再生中にメカから「ギリギリ・・・」という異音が発生することに気がつきました。
先ほどはスピーカーからの再生音で気がつきませんでしたが、デッキ1も音は小さいものの、同様の異音が発生しています。最初はプラスチックギヤの変形によるものと思い、「仕方ないかな・・・」と諦め気味でしたが、
メカの上部からドライバでリール部をつつくと、異音が止まることがあることがわかりました。
再度メカを降ろします。リール先端部を引き抜きます。
先ほどと同様分解していきます。
リール台を取り外しました。このリール台には、リールのトルクを調整するためのスプリング式クラッチが内蔵されています。
ここもハメコミですので、スプリングを押さえている留め具を引き抜きます。
異音の犯人は、このスプリングです。右写真のように、スプリング端部が変形しています。そのため、クラッチが働くときに、プラスチック部と擦れて異音が発生したようです。
変形しているスプリングを修正して元通り組み立てます。
さあどうでしょうか?ギリギリ音は完全に解消されました。
デッキ1も同様の処置を行いました。
調整に移ります。テープ速度は、デッキ1とデッキ2の間にある基板上のトリマを回して調整します。
この端子をショートさせると倍速になります。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度調整します。ノーマルスピード、
ハイスピード、デッキ1・2ともに合わせます。
ヘッドアジマスは往復方向で調整します。
録再バランス調整を行います。
録再状況を耳で確認し、修理完了です。