SONY製3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、TC-KA7ESの修理依頼をいただきました。現在入手困難なデッキの一台です。
3年ほど前に同じ故障で修理されたそうですが、再発したということで今回のご依頼に至りました。
トレイ開閉はOKですが、再生はヘッドが上がらないためNGです。モードベルトのスリップが原因ですが、ベルトの材質のほか、温度などの使用環境によっては、短期間で劣化することがあります。
カバーを開けてメカを降ろします。
分解を進めます。
左側のピンチローラーアームは調整式になっています。脱着する前に元の位置を測定し、かつ、留め具にマーキングしておくと、組み付けが楽になります。
ピンチローラーアームとアイドラーを取り外します。
ゴムが劣化していますので交換します。
キャプスタンモーターユニットを切り離します。
モーターユニットを分解します。
モーター基板上の電解コンデンサーを交換します。
新しいベルトを掛けて組み立てます。
メカフロント部を分解します。
当店で取り付けるベルトは左のものです。
プーリーをアルコールで脱脂し、新しいベルトを仮掛けします。
ローターリーエンコーダーを分解します。
汚れた接点を研磨清掃し、スライド接点専用グリスを処置します。
ここであることに気がつきました。誤消去防止用のスイッチカバーが斜めになっています。
スイッチも常にON状況になっているのでしょうか?もちろん修正します。
オートセレクタ用のスイッチ接点を磨きます。
メカを本体に戻して動作確認を行います。
ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視点検します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の点検を行います。許容範囲内に収まっています。
ヘッドアジマスの調整を行います。
バイアスキャリブレーション後に録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる数種類のテープで録再状況を耳で確認し、修理完了です。