ナカミチの2ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、480の修理依頼をいただきました。
25年ほど保管状態にあったとのことです。
イジェクトボタンが奥に引っ込んでいて、トレイリッドが開きません。
カバーを開けて、カセットホルダーのロックを指で解除します。
状態を点検するため、底板を取り外し、硬化変形しているモードベルトを交換してみます。
操作ボタンに反応はあります。しかし、ヘッドは上がりますが、ピンチローラーアームが固着しているため、再生できません。
フロントパネルも取り外し、メカを取り出します。
ナカミチのこのサイレントメカは、3層のプレートで構成されています。
1層目、キャプスタンモータープレートを取り外しました。何やらフライホイールに落書きのようなものが見られます。キャプスタンベルトは、経年により型が付いています。
2層目のプレートを取り外します。
イジェクトが効かないのは、リンケージを固定している箇所が破損しているからです。
アルミ板を加工します。
破損した箇所に被せます。
左右リール台を脱着し、異音防止のためグリスアップします。
硬化しているアイドラーゴムを交換します。
誤消去防止孔の検出スイッチ接点を磨きます。
伸びが見られるカウンターベルトを交換します。
新しいキャプスタンベルトを掛けて組み立てます。
カセットホルダーの開閉状態を確認します。
カセットホルダーとヘッドブロックを取り外します。
固着していたピンチローラーアームを分解清掃します。
メカを本体に戻して動作確認を行います。再生・早送り巻き戻しは正常です。
と思ったら、ドルビーをONにすると左チャンネルにノイズが混じります。また、録音を試すと、両チャンネルとも酷いノイズが記録されます。回路の故障が原因と思われますが、修理費用が嵩みますので、オーナー様に現在の状況と見積額をお知らせします。
オーナー様からGOサインをいただきましたので、修理に着手します。ノイズ発生の原因として最も疑われるのは、ナカミチのデッキに多発する「オレンジキャップ問題」です。
オーディオ回路にオレンジ色したフィルムコンデンサーが用いられています。
すべて交換します。
無事、ノイズは解消されました。
調整に移ります。315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度の調整を行います。
ヘッドアジマスの調整を行います。
録再バランス調整を行います。ナカミチのデッキは、テープポジションごとに行う必要があります。
テープポジションの異なる数種類のテープで録再状況を確認し、修理完了です。