AIWA製3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、EXCELIA XK-S9000です。
10年ほど前に他店でOHされたという機器です。
イジェクトが効かないためテープが閉じ込められています。
カバーを開けて、メカ上部のプレートを取り外します。
メカ底面のオレンジ色のギヤを回すとトレイが開きます。
キャプスタンベルトが伸び気味です。
この機種のメカの分解整備は厄介です。まずは、メイン基板に直付けされているヘッドの配線を切り離します。
メカを降ろしました。
複雑なトレイ開閉システムを分解し、カセットホルダーを取り外します。
AMTSユニットを切り離します。
ここも複雑です。カムギヤで動くレバーのピンが、上部1か所、下部に2か所ありますので、組み付ける際に注意が必要です。
分解し、ゴムベルトを交換します。
メカ本体背面のモータープレートを取り外します。
ベルトは加水分解が進行し、弾力が失われつつあります。
さらに分解を進めます。
メカ内部のカムでONOFFするスイッチ接点を磨きます。
新しいベルトを掛けて組み立てます。径73mm&75mmです。
メカ正面に移ります。
左右リールを取り外します。
早送り巻き戻し用のアイドラーゴムを交換します。13*9*2mm・硬度65です。
再生用のアイドラーゴムを交換します。13*9*2mm・硬度45です。
リールベルトを交換します。折長80mmです。
メカを本体に戻して動作確認を行います。動きましたが不調です。
10回に1回程度ですが、操作ボタンに無反応になります。
AMTSのカムギヤを少し動かすと、再度動き出しますが、やはり何度か操作していると無反応になります。内部スイッチ接点の処置が甘かったのかと思い、再度メカを降ろして分解し、接点を磨きましたが、変わりはありません。となると、メカのコントロール回路の故障でしょうか?さあ困りました。
操作ボタンを押した時のメカの動きを観察します。再生ボタンを押すと、カムギヤが時計回りに30度ほど回転しその状態で停止します。そして、ストップボタンを押すと反時計回りに回転し、元の位置に戻ります。しかし、無反応になるときは、反時計回りに動きません。
交換したベルトがスリップしているのかと思い、プーリーを指で触りましたが、そもそもモーターが回転していないことがわかりました。
無反応になった時のモーターの電圧を測定します。すると、6Vが印加されていました。ということは、モーターの不具合です。こういった、常に同じところを行ったり来たりするモーターは、内部の接点に接触不良が起きやすい傾向がありますので、今回もそれが原因と思われます。早速モーターの隙間から接点復活剤を処置します。
不具合は起こらなくなりました。
調整に移ります。速度が許容範囲内にあることを確認します。
ヘッドアジマスの調整を行います。
バイアスキャリブレーション後に録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる数種類のテープで録再状況を確認し、修理完了です。