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XK-S9000

AIWA XK-S9000

投稿日:2020年8月6日 更新日:

本ブログ初登場のXK-S9000です。

中古市場でもかなりの価格で取り引きされているAIWAの名機です。高級感と重厚感を兼ね備えた素晴らしいデザインです。

イジェクトボタンを押すと、内部からモーターの音が聞こえ続けますが、それ以外の反応は一切ありません。

カバーを開けました。

この大きな基板はドルビーSの回路です。

メカの覆いを取り外します。

メカの下部にあるこの黄色いギヤを指で回すとトレイが開きます。

AIWAのデッキは他社にはないこだわりがあります。

再生ヘッドのケーブルが半田付けになっています。メカを取り出すためには一度切り離す必要があります。基板に「シロ」とか「クロ」とか書いてありますので間違う心配はありません。

ただし、不思議なのは、録音・消去ヘッドの接続はコネクタになっています。再生ヘッドケーブルの半田付けは単なる構造上の問題だったのでしょうか?

メカを取り出しました。底部2、上部1本のビスで固定されています。ヘッドのケーブル以外は基板との接続はフラットケーブル1本のみと、メンテナンス上も優れています。

下位機種との違いはここです。この機種は、再生時はリール間にあるアイドラーで駆動されるのではなく、専用のモーターを用いてゴムベルト経由で右側リールを回します。これはモーターのコギング対策ですが、モーターはその構造上、回転角によってトルクが変動しますので、テープテンションを一定に保つため、それを極力減らす工夫です。

なお、ベルトは溶けて無くなっています。

メカの全貌です。

裏返しました。このメカは、トレイ開閉及び、カセットハーフを強い力で固定するAMTS(ANTI MODURATION TAPE STABILIZER)用です。前身モデルでは、ソレノイドの力で「ガチャン」と強烈な音がしますが、この機種ではサイレント仕様としてモーターによるカム駆動となっています。

しかし、ベルトがドロドロに溶けていて、まったく機能していません。

キャプスタンベルトも同様です。

まずはカセットホルダーを切り離します。詳細は以前のS7000の記事をご覧ください。ただし今回は、ホルダーに接続されている細いケーブル(ハウジングランプ、テープ挿入検知)を切り離します。ここも色分け表記がなされています。

ホルダーを取り外しました。

溶けたベルトカスを除去し、新しいベルトを掛けます。

次にAMTSのメカを切り離します。メカ本体と3本のビスで固定されています。

ここはカムの構造が少し複雑ですので、分解前に構造を一旦確認します。

プーリーにベルトが付着しています。

力の掛かる場所ですので、ゴムベルトではなくバンコードに置換します。ベルト長12.1mm・太さ1mmでベストです。緩い・細いベルトではスリップしますし、きつい・太いベルトはモーターに負荷が掛かりすぎてメカがうまく動作しません。

AMTSメカを組み立て後、モーターに直接電圧を加え、カムが正常に作動するか点検します。

フライホイールのバックプレートを取り外します。

フライホイールを脱着し、清掃を行います。組み付け時にはシャフトにグリスを微量施します。

新しいベルトを掛けて組み立てます。径73mmが2本です。

リールモーターに直接電圧を加え、リール回転のトルクが十分かチェックします。

ゴムパーツを専用クリーナーで清掃し、元通りに組み立てます。

テープをセットすると自動でトレイが閉まります。閉まった後にAMTSが作動し、テープを押さえ付けます。個人的な感想ですが、このAMTSのようにテープを確実にセットする機能は、音質上大変有効です。機種によっては、再生中にテープに触れると音質が変化するというものもありますので。

テープ走行、音出しOKです。

点検調整に移ります。キャプスタンベルトを交換したにも関わらず、テープ速度はジャストでした。

ヘッドアジマスは僅かな狂いが見られましたので調整します。

バイアスキャリブレーションを行って、左右同レベルの信号を入力します。それを録音再生モニターし、バランス調整を行います。

CDを録音し聴感テストを行い修理完了です。

-XK-S9000
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