以前当店でAKAIのデッキを修理された方から、今回は、ナカミチの3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、DR-2の修理依頼をいただきました。
症状は、テープが傷む(特に巻き始め)ほか、速度やレベルに違和感があるということです。
再生は可能ですが、テープによっては、ミシミシという音と共にテープに傷が付いてしまいます。
カバーを開けてメカを取り出します。
化粧パネルを取り外します。これは想定外でしたが、バックテンションベルトにバンコードが使用されていて、その接合部が切れていました。このバンコードというのは、端と端を融着してリング状に接続加工するのですが、融着の温度設定や接合後の養生が悪いと、このように接合部で切れてしまいます。また、バンコードは私も使用することがありますが、こういった微妙なテンションが必要な箇所に使用することは些か無理があります。
ベルトは最後に掛けるとして、必要なメンテナンスを進めます。トレイ開閉を検知するスイッチ接点を磨きます。
左右リールとアイドラーを取り外します。
コントロールモーターユニットを取り外します。
酸化して黒くなっている接点を磨きます。
コントロールモーターとリールモーターに直接電圧を印加し、半日ほど空転させ内部接点の接触改善を図ります。
バックテンションベルトを取り付けました。
キャプスタンベルトを交換します。
元通り組み立てて動作確認を行います。走行状態は良好ですので、しばらく暖気運転を行います。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度調整を行います。
ここで問題が発生しました。右CHの録音レベルが低く、内部のREC-VOLでは調整しきれません。
録音アンプの回路を点検しましたが、特に問題は見られません。
不具合箇所の特定を行うため、録音ヘッドの配線を左右入れ替えます。録音回路の問題であれば、左右が入れ替わるはずですが、状況は変わりませんでした。ということは、録音ヘッドの性能低下が原因です。
このことをオーナー様にお伝えし、右CHはMAX、左CHはそれに合わせる形でバランス調整を行うことにしました。
以上修理完了です。