前回に引き続き今回はDATデッキのブレーキパッドについてです。ここではSONYの製品について限定して記事にします。
まず、基本的にリールメカが2DDかそうでないかで異なります。2DDリールメカを搭載しているのは1000ES、1500ES、2000ES、A8、ZA5ESとなり、それ以外は1モーターで左右リールを駆動しています。
2DDの場合は至ってシンプルです。というのは、左右リールは電気的に独立して動きをコントロールされているので、リールが停止する場合のブレーキパッドが左右に1か所ずつ取り付けられているだけです。
ところが意外とこのパッドに関わるトラブルが発生します。例に漏れず、このパッドもフェルト製なのですが、長期間不使用とした場合、パッドがリール部に貼り付いてしまいます。おそらく湿気の影響かと思われます。こうなった場合に無理やり手でリールを回すとパッドが剥がれてしまい、ブレーキの効きが悪くなります。そうすると、早送りや巻き戻し後に停止した場合にテープにたるみが生じ、再生ボタンを押しても音が出るまでに時間を要します。最悪の場合、たるんだテープがヘッドなどに巻き付き、テープやメカにダメージを与えることもあります。
続いて1モーターの場合ですが、これも大きく分けて2種類に分類されます。
はじめに500ES、300ES、55ESのグループになりますが、リールメカには先ほどの2DDと同じく左右リールのブレーキが1つずつあります。役割も同じです。早送りや巻き戻し後に再生ボタンを押して音が出るまで数秒間かかる場合はブレーキの効きが悪くなっています。このパッドも両面テープで貼り付けられていますので脱落することがあります。
もう一つはデッキメカユニットに取り付けられているブレーキですが、これはテープにテンションを加える役割があります。巻き戻しでトルクが弱くなったようになり停止してしまうのは、ここのブレーキの効きすぎです。
続いては57ES、59ES、690、790、A7、ZE700です。
ブレーキパッドはテープにテンションを加えるために左右1か所ずつあります。これも両面テープが剥がれて脱落します。そうなるとテープ走行が安定せずノイズ発生の原因となります。なお、リールを停止させるブレーキにはパッドは使用されていません。
DATデッキのブレーキは以上のような構造になっています。メカの動きが悪くなったからといって、リール周辺にCRCを吹き付ける方がいらっしゃいますが、パッドの剥がれを誘発しますので、絶対にお止めください。