先日修理依頼をいただいたDTC-77ESですが、テープ走行音が耳障りです。この場合に考えられるのは、「ヘッドの回転音」と「ヘッドとテープの擦れ音」のいずれかです。
ヘッドの回転音は、ヘッドの軸受け部分の劣化に伴い音が大きくなるもので、使用には差し支えありませんが、最終的な修理方法は交換しかありません。
一方、「ヘッドとテープの擦れ音」ですが、これはテープに悪影響を及ぼします。原因は、ヘッドに付着した汚れですが、この汚れにも2種類あって、「テープの汚れ」と「スポンジ製ヘッドクリーナーのカス」で、いずれもクリーニングテープで除去することはできませんので、カバーを開けて直接ヘッドを清掃する必要があります。
それでも、「テープの汚れ」については、比較的簡単に除去することはできますが、問題は、「スポンジ製ヘッドクリーナーのカス」です。
SONYの大半のDATデッキには、このようなスポンジ製のヘッドクリーナーが装備されていますが、経年劣化により性質が変化し、
弾力性が全く無くなり、粉々になってしまいます。しかし恐ろしいのは、
こういう風にヘッドにこびりつきます。それでもヘッドの下半分は、テープに触れることは無いので気にしなくても良いのですが、回転する上半分に付着したカスはテープと接触し、テープを削ります。今回の77ESは、その音が聞こえていたものと思われます。
ヘッドチップが4箇所に付いていますので、ここに触れないように拡大鏡と爪楊枝などの先の細くて柔らかいもので汚れを除去します。
これで今回の77ESも無事静音化しました。