PIONEER製のDATデッキ、D-07Aの修理依頼をいただきました。これまでD-07の修理は数度行ったことはありますが、D-07Aは初めてです。情報はあまり持ち合わせていませんが、D-07をベースに高音質化を図っているとのことですので、基本的な部分はD-07と同じようです。
不具合の状況ですが、トレイの蓋が開きっぱなしになっています。オーナー様はパーツ取り用のD-07もお持ちとのことでしたので、部品破損の場合も想定しD-07も一緒に送っていただきました。
トレイ蓋の状態を確認するためにカバーを外します。やはりレイアウトやメカはD-07と同じです。
D-07と同様、ケミコンやICに銅板を巻くなどゴージャス仕様です。当時16万円のデッキですが、現在同じものを作ると50万円は下らないでしょう。
メカを固定しているビスとコネクタ、ケーブルを外してメカを取り出します。
ちょっと分かりづらいです。黒いギヤがトレイ蓋のギヤとかみ合って開閉するようになっているはずなのですが、ギヤが外れています。点検したところ破損は無いようですので、ギヤを固定している箇所を少し緩めてギヤ同士がかみ合うように調整します。
これでトレイ蓋が開きっぱなしになることはありません。
正常に作動するかテストするために一旦メカを戻します。トレイ蓋開閉メカとの関係で、組むときに写真のように傾けながら取り付けなければなりません。
うまくいきましたが、動きがぎこちないので、
トレイ開閉ベルトを交換しました。左は元のベルトですが、硬化により型が付いています。
これでとりあえずは正常に作動するようになりましたが、オーナー様との協議により、今後不具合の発生が予想される箇所のメンテナンスを行うこととしました。
メカ駆動用のベルトの状態は良好です。
メカの作動状態を検知するロータリーエンコーダーの接点は汚れています。
清掃し、接点専用のグリスを塗布します。
続いて、ヘッド信号を処理するアンプです。D-07とはコンデンサーの数が異なっています。
D-07では、見た目には異常の無いコンデンサーが劣化し音が出なくなります。
交換完了です。
ヘッドからの信号をチェックします。異状なしです。
SONY製品と同様、このデッキもヘッドフォンVOLのガリが酷いので、接点復活剤を用いて修正します。
ローディング・再生の状態を何度も繰り返し点検し、
各モードでの録音状況も点検し修理は完了です。一緒に送っていただいたパーツ取り用のD-07は当店で買い取らせていただきました。