今年の1月に当店でDTC-77ESの修理をされたお客様から、もう一台の77ESの修理依頼をいただきました。
「録音が出来なくなり、再生もガサ
まずは動作確認をします。再生はできますが、RFアンプが故障したようなノイズ交じりの音質です。
まずはRFアンプとテープパスを点検します。・・・と、ここであることに気が付きました。
4ヘッド機ですので、RFアンプは「再生・録音」用と、「録音時再生モニター」用の2つありますが、「再生・録音」用のヘッドからRFアンプに接続するフラットケーブルに亀裂が入っていて断線しています。おそらくこれが故障の原因と思われます。
とりあえずメカを取りだして、切れた部分の修理を行います。といってもフラットケーブルですので、元通りには治りません。そこで、バイパスを組むことにします。
RFアンプです。2段になっていて上が「録音・再生」用です。
バイパス線を直接接続します。
ヘッド側も同様です。
ピンチローラーの留め具が無くなっています。走行不良になるのも時間の問題だったようです。手持ちのパーツを使用し、抜け出し防止として中心部に弾性のある接着剤を微量塗布します。
作業のついでですので、不要となっている標準のヘッドクリーナーアームを撤去します。
再生します。テープパスの狂いも見られましたので調整を行い、正常に録音再生ができるようになりました。
今回はメカのメンテナンスも行います。
メカを裏返しにして底面の基板を分離します。
古いグリスが気になります。
リングギヤ周辺を分解しメンテナンスします。
茶色のグリスはかなり硬化が進行しています。CRCで溶かしながら除去し、綺麗にふき取ってからシリコングリスを塗布します。
パーツの清掃が終わったら順序通りに組み付けていきます。リングギヤの調整機構がありますので、スムーズかつグラつきが無いところで固定します。回転部分はすべてグリスアップします。
続いてリールモーターに移ります。ブレーキはかなり摩耗しているようです。
パッドの摩耗も問題ですが、右側は剥がれかかっていました。もちろんパッドを張り替えます。
メカのメンテナンスが完了しました。
本体に戻す前にひととおりテストを行い、問題が無いことを確認したうえで組み付けます。録音・再生良好です。