今日はDTC-77ESのRFアンプの話です。RFアンプというのは、ヘッドからの信号を最初に処理する役割を担っており、SONYのデッキでは、ドラムヘッドの真上に取り付けられています。
これはDTC-77ESのデッキメカですが、一番上の銀色の箱がそれにあたります。
同じようなものが2ケ重なっているのがわかります。DTC-77ESは4ヘッド機のため、マスターヘッド、スレーブヘッド用にそれぞれにRFアンプが必要となります。もう少し詳しく説明しますと、カセットデッキの3ヘッド機と同様に録音しながら再生モニターができ、マスターヘッドは録音及び再生、スレーブヘッドは録音時の同時モニターに使用されます。同様のシステムはDTC-1500ES,DTC-2000ESに搭載されています。個人的には4ヘッド機はお勧めです。なぜなら、現在新品のテープが販売されていない状況では中古テープを使用することが多く、テープの劣化による録音ミスが即座に判断できるからです。
このRFアンプが話題となるのは、DTC-57ESに雑音が発生するというときでしょうか。この中に使用されている電解コンデンサーの寿命が短く、というよりも欠陥品のため液漏れを起こし故障します。ほかの機種ではあまり話題になりませんが、このDTC-77ESではどうでしょうか?
まずはスレーブヘッド用です。10μFの基板実装型電解コンデンサーが4個使用されています。撤去してみると右の写真のように液漏れして金属部が黒く腐食しています。
続いてマスターヘッド用です。22μFの基板実装型電解コンデンサーが2個使用されていますが右の写真のように足が腐食していますので先ほどと同様です。
この電解コンデンサーの不良については、雑音が発生するという不具合よりも、液漏れにより電解液が基板を侵し、復旧不能の状態になることが一番の問題です。コンデンサーの交換自体は費用もそれほど掛かりませんが、基板、特に上下面を結ぶスルーホールが浸食され、絶縁状態となってしまうと、写真のように集積化、チップ化された基板ではほぼ修復は不可能です。
幸いにもこの機体ではそこまでには至っていませんでしたので、コンデンサー交換で事なきを得ましたが、同型機をお持ちの方は一度点検を受けることをお薦めします。