先日に続きTC-K222ESLの修理です。
10年ほど前に故障し、不動状態のままだったということです。
トレイが半開きになっている、と思ったら、
リッドのツメの上部2か所が折れていました。これを完全に治すとなると交換しかありませんが、パーツ入手はかなり困難です。
下部2か所のツメが健在ですので、そのままでも使用には差し支えありませんが、簡易的にツメを補修します。
カバーを開けてメカを取り出します。メイン基板の点検は後ほど行います。
テープが閉じ込められています。向かって左側のプレートを取り外すとトレイが完全に開きます。
カセットホルダーと化粧パネルを取り外します。
アイドラー、ピンチローラーアームを取り外します。
キャプスタンモーターを切り離します。
この機種では珍しく、キャプスタンベルトが加水分解を起こして柔らかくなっています。一度交換歴があるのでしょうか?
これも珍しく、電解コンデンサーに液漏れが起きていません。
トラブル予防のため新品に交換します。
シャフトにグリスを塗布し、新しいベルトを掛けて組み立てます。
消去ヘッドに錆が出ていますので研磨材を用いて除去します。
メカフロント部を分解します。
個々のベルトも加水分解を起こして強度が低下しています。
プーリーを清掃し、新しいベルトを仮掛けします。
ローターリーエンコーダーを取り外して分解します。
清掃後の写真を撮り忘れましたが、あまり汚れは見られませんでした。
テープ検出スイッチの接点を清掃します。
順番に組み立てていきます。
ピンチローラーは左右とも交換です。
メカの整備が完了しました。
動作状態を確認します。
少し前に同型機を修理した際にも記事に書きましたが、222ESLと222ESAは、必ず基板の点検を行います。指で指している銅板(アース)の接触不良が起こりやすいためです。
ところが、製造時からなのか、修理されたのかわかりませんが、通常よりも半田が多く盛られ、異状は認められませんでした。
調整に移ります。ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視で点検します。
315Hzのテープを再生してテープ速度が許容値内であるか確認します。
ヘッドアジマスの点検調整を行います。ほぼ狂いはありませんでした。
バイアス調整を行い、左右同レベルの信号を入力します。それを録音再生モニターし、バランス調整を行います。
数種類のテープを用いて録音状態を確認し、完成です。