先日部品の手配の関係で修理を中断していたDTC-1500ESの続きです。
メカの整備に着手します。
メカ底部の基板を取り外し、構成ユニットを分解していきます。
リングギアは固着寸前でした。かなりスライド部の動きが重い状態です。古いグリスをCRCで除去し、新たにグリスアップを施します。ベルトも伸びと硬化が認められましたので交換します。
ピンチローラーはプロ用のクリーナーS-721Hでクリーニングします。テカリが無くなりました。このクリーナーはテープデッキ愛好家には必需品です。
パッドの固着トラブルの多いリールメカですが、状態は良好でした。メカは元通りに組み立てます。
ドライブボードの電解コンデンサーを除去した状態です。100μF/6.3Vの劣化が一番進行しているようです。
ドライブボードの真下に設置されているデジタルボードにも同じ電解コンデンサーが大量に使用されています。除去すると右の写真のような状態になっています。この状態で動作していたのが不思議なくらいです。
両基板の電解コンデンサーはすべて交換です。併せてアルコールで基板のクリーニングも実施しました。
メモリー用の電池も電圧低下していますので交換です。
仮組みを行い試運転です。メカの動作はもちろん良好です。最後にテープパスの点検とひととおりの動作チェックを行い修理完了と思いきや、意外な故障が見つかりました。
OPTICALが出力されません。COAXIALは正常ですので、デジタルボードの腐食でどこかが断線しているかもしれません。厄介な作業です。オーナー様と連絡を取ったところ、「OPTICAL-OUTは使用しないので修理しなくてよい」と回答をいただきました。
それでも気になってDTC-77ESの回路図(DTC-1500ESの回路図の代わり)を眺めてデジタルボードのは導通をチェックしていると、本来印加されるはずの5Vが来ていません。こうなるとこっちのものです。
デジタルボードはICなど集積化が行われていますので、ジャンパ線の取り付けも一苦労ですが、ちょうど取り出したいところに「5V」と書いた取り出し端子がありましたので、そこから配線し、無事OPTICAL-OUTが復旧しました。
今回は電解コンデンサーの液漏れによる基板の腐食が原因の故障でしたが、運よく修理できる状態でしたので事なきを得ました。もう少し修理が遅れると腐食が進み修復不能になった可能性があります。不調の機器をお持ちの方は当店までご相談ください。