近郊の札幌の方から戴いたKENWOOD製カセットデッキ、KX-1100Gです。3ヘッド、デュアルキャプスタン、バイアスキャリブレーションを搭載し、1985年当時99800円と高級品です。
事前にお聞きしたところリールの巻き取りが不調とのことです。
確かに早送りや巻き戻しは動作しますが、再生ではすぐに停止してしまいます。
中身はシンプルです。配線の状態から修理を試みた形跡が伺えます。
メカは前面4、底部2本のビスで固定されていて簡単に取り出すことができました。この状態で再度動作確認を行います。テープを入れないで再生状態にするとリールは快調に回転しますが、テープをセットするとすぐに停止してしまいます。この故障は、AKAIのGX機でもお馴染みですが、リールモーター内部の接触不良が原因です。
テープをセットしていないとき、あるいは早送り・巻き戻しのときは、リールは高速で回転します。その時はもちろん、モーターも高速回転します。ところが、テープをセットして再生状態にすると、モーターは超低速回転になります。
モーター内部のブラシ部に接触不良があっても、高速回転の時は慣性で回り続けますが、超低速回転のときには慣性が弱いため停止してしまうんです。
さあどうしましょうか?できれば新品のモーターに交換したいのですが、ネットで型番を検索してもまったく情報が出てきません。
似たような別のモーターに交換するという手も考えました。電圧を測定すると6Vで駆動していますので、探せばなんとかなりそうな気はしますが、まずは、その前にモーターのOHにチャレンジすることにしました。
モーターは分解は簡単にできるのですが、組み付けにコツが必要となります。しかも場合によっては復旧不可となることもあって、できれば避けたい作業です。しかし、背に腹は代えられません。
メカ背面です。リールモーターに取り付けられている基板を取り外します。
マイナスドライバーでこじってバックパネル?を外します。
やはりブラシ部の汚れと摩耗が酷い状態です。
接点を磨き、さらに接点復活剤を塗布します。個人的には組み付けは苦手で、なかなかブラシが所定の位置に嵌らず、組んではバラしてというのを10回ぐらい繰り返しました。
上手くいきました。もう停止しません。
本体に組み付けました。メカと録再調整を行い試運転です。・・・はっきり言って驚きました。お世辞なしで素晴らしい音です。高域の繊細な表現力が特に優れています。手放すのが勿体なくなってしましいましたが、一体この後どうしましょうか?