少し前に、1年ぶりに取り扱ったYAMAHAの3ヘッドカセットデッキKX-1000ですが、今度は別のお客様から修理依頼をいただきました。
ジャンク機をオークションで購入されたということですが、なかなか外装良好の綺麗な機体です。しかし、動作確認を行ったところ、電源をONにすると、結構大きな音が響きます。おそらくベルトが溶けてモーターが空転しているものと思われます。
また、フロントパネルのスライドVOLですが、上まで移動させても重力で勝手に下がってしまいます。
カバーを開けました。内部も非常に綺麗です。とても30年以上経過しているとは思えません。
やはりベルトがありません。
スライドVOLのことが気になりましたので、フロントパネルを取り外しました。すると、VOL自体に問題は見られません。
おそらく前に分解された方が、組み立て時にこのVOLのレバーを、
このフロントパネルのツマミに合わせなかったのでしょうね。
メカを降ろします。バックパネルを取り外します。
まずは最も問題のある場所から手を入れていきます。フライホイールのバックプレートを取り外します。
ベルトが溶けて張り付いていますので、アルコールで清掃します。
ついでにテープ検出スイッチを分解し接点を清掃します。
キャプスタンのシャフトにグリスを塗布し、新しいベルトを掛けます。
次は、メカの動作状態を検知するこのリーフスイッチを分解し、接点を清掃します。
このスイッチはテープをセットしたことを検知するためのものです。同じく接点を清掃します。
メカフロント部をメンテナンスするためにカセットホルダーを切り離します。
バックテンション用のベルトが伸びてたるみが見られます。
新しいベルトに交換します。折長40mmです。
アイドラーゴムも交換します。14mm*10mm*2mmです。
ピンチローラーも新品交換します。左側は11mm*8mm*2mm、右側は13mm*8mm*2mmです。
ヘッド周りも綺麗ですね。これでメカの整備は完了です。
本体に組み付けて動作テストです。軽快かつ良好です。
315Hzのテープを再生してテープ速度の点検を行います。2%以上の狂いを調整します。
再生ヘッドアジマスを調整します。グラフが安定しているのはテープ走行状態が良好ということです。
バイアス調整を行い、入出力レベルを調整します。
最後にCDの録音再生モニターによる聴感テストを行い、修理完了です。