SONYのDATデッキ(ポータブルを除く)のヘッドは、2ヘッドと4ヘッドの大きく2種類に分かれていて、さらに2ヘッドについては5種類、4ヘッドは2種類に区分することができます。このことは以前の記事に記載しましたので興味がある方はご覧ください。
そこにも書きましたが同じヘッドであれば機種が異なってもボルトオンで換装できます(調整は必要です)。とはいえ、新品のヘッドは入手できませんし、中古の同じ種類のヘッドを探すのも困難です。
それでは、いっそのこと下位機種の種類の異なるヘッドを上位機種に搭載できないでしょうか?試してみましょう。
今回は、ヘッドが故障したDTC-ZA5ESにDTC-57ES、59ES、A7、690、790、ZE700といった比較的価格の安価な普及機のヘッドを換装します。
左がDTC-ZA5ES用、右がDTC-A7用です。ドラムのデザインは異なりますが、ヘッドの信号をRFアンプに接続するコネクタは同一です。しかし、モーターのケーブルがまったく異なります。DTC-ZA5ES用はフラットケーブルでDTC-55ES用と似ています。かたやDTC-A7用は、コネクタ2ケで接続するようになっています。
アースの金具の位置も異なりますが、これは後ほど移設します。ドラムヘッドの形式はDTC-ZA5ES用がDOU-03D、DTC-A7用がDOU-03Aですので、ヘッド部は形式が同じです。最後のアルファベットがDとAでモーターのケーブル形式のみ異なります。
まずはモーターのコイルとマグネットを分離します。
黒色のベースを外したところです。
モーターのコイルは3か所半田付けされていますのでここで分離します。
そして、DTC-A7のヘッドにDTC-ZA5ESのコイルを半田付けします。
アースの金具を移設します。
ベースを取り付けて完成です。
もちろんボルトオンで取り付けできます。
本体に組み込んでテープを挿入します。ヘッドが回転し音が出ます。
ヘッド換装後はテープパスの点検が必須ですが、まったく狂いはありませんでした。すごい精度で製造されています。
以上ヘッド換装は完了です。ヘッドは貴重品ですがジャンク機のパーツを流用することによりまだまだDATは活躍できそうですね。DATデッキの不調でお困りの方は当店にご相談ください。