KENWOOD製HX-1100Gの修理依頼をいただきました。
当店のブログに記載された症例と同じということで、ご依頼がありました。
テープ走行するものの、音が出ないといった状態です。この機種に頻発する症状です。
カバーを開けます。メイン基板の特定の電解コンデンサーが故障しやすいので、点検を進めます。
一発で引き当てました。C98(470μF/10V)です。ショートモードで故障しています。このことについては、以前に記事にしていますので、詳細は以下ご覧ください。
ということで、故障していたコンデンサー以外にも、故障しやすいコンデンサーも同時に交換を行います。
しかし、状況は改善されません。
再度点検を行うと、上記記事とはやや異なりますが、7.6Vラインが死んでいることがわかりました。
関係するQ29(2SC1685)を取り外して点検します。予想通り故障しています。
代替品の2SC945に交換し、無事復旧しました。右写真は今回交換したパーツです。
メカのメンテナンスに移ります。ハウジング内の化粧パネルを取り外します。
これもこの機種のウィークポイントです。バックテンションベルトが溶け切れています。
溶けたベルトを綺麗にふき取って、新しいベルトを掛けて組み立てます。
カムモーターユニットを取り外します。
無負荷状態にして電圧を加え、数時間程度空転させます。リールモーターも同様です。
汚れた接点を清掃します。
キャプスタンベルトが緩めです。
新しいベルトに交換します。
ピンチローラーとヘッドを専用クリーナーで清掃します。
検出スイッチの接点を磨きます。
メカを本体に戻して動作確認を行います。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の調整を行います。
ヘッドアジマスの調整を行います。大幅な狂いでした。
録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる複数のテープで録再状況を確認し、修理完了です。